©木村 直

2021年の秋に開催されたT3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2021にて、写真を専攻している14の美術系大学・専門学校から選抜された79名の学生による公開オンラインポートフォリオ展を開催し、グランプリ受賞者の特典として72Galleryでの個展の権利が与えられました。この度、受賞者である木村直さん(東京藝術大学)の展示を行います。

作品コメント:木村直
ハンセン病療養所は日本に現在 13 箇所あります。沖縄県にはハンセン病療養所は2 箇所あり、この撮影した場所では、戦前から戦後にかけて、隔離、堕胎が行われました。またこれらの2箇所は沖縄戦の戦火の真っ只中にもあり、戦跡も数多く見られます。2019 年での在園者の平均年齢は 84.4歳であり、今後どのように次世代にこれらの歴史を継承していくか、模索の中にあります。記録と継承の場としては、近年に、ハンセン病療養所内に社会交流会館、または資料館が設立されてきましたが、既に多くの継承すべき記憶、体験、資料が失われています。また根深い差別により、記録をすること自体が困難な状況は現在でも続いています。私はハンセン病療養所の本質とは、歴史と同時に、そこにいる人々にこそあると思います。そこで、私はハンセン病療養所の日常に関わらせて頂き、本作品を制作しました。

海外レビュアー:
ガオ・ヤン(中国/写真家・天津美術学院写真芸術学科講師)、シェン・ジャオリャン(台湾/写真家・台湾芸術大学准教授)、ベク・スンウ(韓国/写真家・弘益大学教授)、ルット・ブリース・ルクセンブルク(英国 /写真家・Royal College of Art講師)

 

©木村 直

【T3 STUDENT PROJECTとは?】
同時代に写真を学ぶ学生たちが一堂に会することで交流を深め、お互いに刺激を与え合うこと。また、海外のレビュアーに作品を見てもらうことで、作品を異なる視点から見つめる機会や、海外へ作品を発信していくステップになることを願い開催する企画。4名の海外レビュアーによってグランプリに選ばれた1名に対し、72 Galleryでの個展開催権利に加え、副賞として奨励金30万円と、自然なインターフェースの使いやすさと高度なクリエイティブ作業に必要なパワーで創作活動を支援するMicrosoft Surfaceより、2022年3月1日発売の最新モデル「Surface Laptop Studio」 を授与している。

【参加校】
大阪芸術大学、京都芸術大学、女子美術大学、多摩美術大学、東京藝術大学、東京工芸大学、東京造形大学、東京綜合写真専門学校、東京ビジュアルアーツ、日本大学藝術学部、日本写真映像専門学校、日本写真芸術専門学校、ビジュアルアーツ専門学校大阪、武蔵野美術大学

ポートフォリオ展の出展作品のアーカイブはこちら
参加した79名の作品をご覧いただけます。

 

T3 STUDENT PROJECT 2021 グランプリ受賞展

木村直写真展「みちしるべ 2016-2020 -国立ハンセン病療養所の記録と継承-」
開催日:2022年3月16日~27日 ※ 月曜・火曜休廊
時間:12:00-19:00 (最終日 17:00まで)
場所:72Gallery → access
〒104-0031 東京都中央区 京橋 3-6-6 エクスアートビル1F

 

©木村 直

 

プロフィール:木村 直 | Choku KIMURA
1998 年神奈川県生まれ。東京藝術大学美術研究科先端芸術表現専攻修士課程在籍。「国立ハンセン病療養所の記録と継承」と「見ない暴力」「見る暴力」を主軸に、写真・映像・インスタレーションを用いて制作を行う。母が大学生の頃、国立療養所沖縄愛楽園(ハンセン病療養所)に行ったことがきっかけで、2 歳ごろから両親に連れられて、国立療養所沖縄愛楽園に訪れる。主な受賞歴に第9回500m美術館賞入選展 グランプリ (北海道|2022年)、 T3 STUDENT PROJECT グランプリ(東京|2021 年)